2013年4月30日火曜日

『キセキ37』屋上庭園

今回は、天神山文化プラザの屋上のお話です。




屋上では、吹き抜けにあるレリーフの
頂上部分を見ることができます。
手前の整然と並んでる三角の形のものは?


                                            近づくと折り紙の紙飛行機のようにも見れます。


こちら側は窓がついてます。


2階ロビーから見上げたトップライトです。
屋上の窓はこの三角の部分の上にあり
ロビーに光を落としています。



屋上部分トップライトの製作の現場写真が残っています。
型枠や鉄筋の組み方に工夫されているのがわかります。
((株)前川建築設計事務所所蔵)

前川建築では他にない屋上庭園が
天神山文化プラザにはあります。
前川國男氏は、屋上庭園を人々に
活用して欲しいと考えてたようですが、
残念なことに、現在屋上は非公開となっています。

一昨年、昨年とお月見会を開催して
たくさんの方に屋上庭園の素晴らしさや
建物の隠れたこだわりを
知ってもらえたことは、よかったと思いました。

『キセキ1』でお月見会の様子を公開しています。






2013年4月24日水曜日

『キセキ36』建築家丹下健三氏

今回は、前川國男氏と同じ時代に活躍し
弟子でもあった建築家丹下健三氏(1913~2005)の
設計による倉敷市立美術館のお話です。

倉敷市立美術館は、丹下健三氏の設計により、
1960年に倉敷市庁舎として竣工しました。

その後1983年に倉敷市立美術館として
倉敷市出身の建築家 浦辺鎮太郎氏(1909~1991)
の設計により可能な限り丹下建築の特徴を残しながら、
美術館としての機能をもたせるために
改築が行われました。。
(倉敷市立美術館HP美術館の建築より引用)



特徴は約20mのスパンを持った横に架け渡された
大きな梁とプレキャストコンクリート部材による
積み木のような外観です。

南側の入口の庇はこんな感じです。
天神山文化プラザ2階ロビーの入口と似ています。

窓枠には、格子のような柱や
天井には梁が施されています。

エントランスホールは
高さ10mの吹き抜け空間があります。


見上げると…彫刻のようなレリーフがとても見事です。
バルコニーのような入口も見えますね。

2階から階段をみると手すりがコンクリートで
面白い形になっています。

こちらは3階にある講堂です。

天井はドームを思わせる形で、デザイン性に富んでいます。
照明も星空のように素敵です。
丹下健三は、ル・コルビジュのロンシャン礼拝堂を
イメージして設計したと言われています。

舞台から見た客席部分


倉敷市立美術館は、コンクリートの打ち放し方式が採用されており、
「日本の縄文的伝統のコンクリートによる表現」との設計者
丹下健三の言葉にもあるように、素朴さのなかにも雄大な
スケールを誇り、まるで近代の校倉造りの蔵を
イメージさせてくれる建造物です
(倉敷市立美術館パンフレットより引用)


今回、倉敷市立美術館を探訪して、
前川建築同様、建築家のこだわりがあり、
人々が憩える建物でした。

時代の流れと共に、取り壊される近代建築が多い中、
改めて美術館として再生された建物が、
現在も利用され、市民や観光客の心に残っていくことは
とても素晴らしい事だと思いました。






2013年4月16日火曜日

『キセキ35』

今回は、第3・4の展示室のお話です。


現在の第3・4展示室があるところは、
総合文化センター時代は
図書館の閲覧室でした。
(総合文化センター40年誌より抜粋)

                       
閲覧室内
 (池上 傳氏所蔵)



                                                   総合文化センター時代からの
                     出窓風の窓が素敵です。
              

 この窓を開けると吹き抜けと
レリーフが見えます。


 第3・4展示室の北側は当時のまま全面窓です。




                                  現在の第3・4展示室(第4展示室側から見る)



第3展示室と第4展示室の間にある
中二階の様子。
展示室が見渡せます。
手すりには、外階段と同じ模様が配され
開放感のある空間に遊び心がみえます。


中二階の下はこんな感じです。
上を支えるため、梁が多く使用されています。             


開館当初の、数年間はクーラーが取り付けられていなかっため、
暑い夏の日は、窓を開けていたそうです。
現在は閉じられている北側の窓から見える景色も
計算されていたかもしれませんね。






2013年4月11日木曜日

『キセキ34』増築

 今回は、昭和50年に増築された第2展示室のお話です。

敷地が8mほどの高さの高台という狭い立地のため
いかに空間を生み出すかに
工夫が凝らされています。

   
開館当時の西側正面写真  
(新建築掲載撮影多比良敏雄) 

                                                          
             
                
                  現在の西側正面、右側が増築部分 
                 1階駐車場の地下部分にあたります。 
                     
                  
 
                      
                        第2展示室入口前

                  第2展示室は構造上地下になるのですが、
高台の立地を生かし入口は西側道路から
 そのまま入ることができるようになっています。

                    
                 

第2展示室大室
内部は可動壁で大小2つの部屋に区切られていますが、
全体をひとつの空間として使うことができます。


第2展示室小室

 
4/14(日)まで第2展示室では
小林白汀遺墨展~寂光~を開催しています。
                    ぜひ遊びに来てくださいね。