2013年5月28日火曜日

『キセキ41』

今回は、「図書館イス」の愛称でも親しまれた
総合文化センター時代に
図書館で使用されていたイスのお話です。
残念ながら…現在は3脚残っているだけです。


 
このイスの原型は1953年前川國男氏が
設計した神奈川県立図書館用のイスで
当時、前川事務所に在籍していた
デザイナーの水之江忠臣氏がデザインを担当。
1955年に製品化されるまで100以上の
プロットタイプが作られたそうです。


 
時と共にリ、デザインされながら、
1955年以来、山形県の天童木工で
作り続けられる現在でも人気のイスです。


 
1950年代当時、最新だった曲面成形合板の技術を
取り入れた、耐久性が高く、座り心地がよいという
利点を備えたイスです。
脚の下部が細められているのは、
床を掃除をする人の労力を
少しでも抑えるためだということでした。



こちらは、㈱前川建築設計事務所で
使われている同じイスです。



総合文化センター閲覧室のイスの設計書
(前川建築設計事務所所蔵)


このイスに座って1日仕事をしてみましたが、
お尻から太ももにかけて硬くもなく柔らかすぎない薄いクッションが
フィット感があり心地よいです。
時々、カーブのある背もたれに身体を預けると
つつまれている感じがします。

足を組んですわると安定が悪い気がします。

また、このビニールの薄いクッションが
夏は冷たくて、閲覧室で勉強している学生達には
ありがたかったことでしょう。

このイスのルーツを訪ねて、神奈川県立図書館を
ぜひ探訪してみたいですね。



 

2013年5月21日火曜日

『キセキ40』

今回は、中庭のお話です。
5月14日からは久しぶりに池に水を入れライトアップ、
18日夜には中庭音楽会が開かれました。


池にかかる石の橋を歩いて奥に進むと…


奥まで池は、つづいています。
ここからの眺めは、日本庭園のようでもあります。



前川建築の中で池がある建物を設計したというのは
あるのでしょうか?



前川作品で庭を設計に取り入れた建物として
思い浮かぶのは、岡山県庁(1957年施工)です。
南側庭園の一部をサンクガーデンとし、
地下入口広間を明るく庭とのつながりを緊密にしています。



同時期の作品の岡山後楽園にある
有本芳水記念碑(1961年施工)
この石碑は水に浸かっています。





総合文化センター着工前の写真を見ると
天神岩周辺に池らしきものはありません。
前川は、この場所に池をつくり
時代とともに木々も成長して、現在の中庭の姿になりました。




中庭音楽会前の中庭では、池に水を張り
たくさんの照明をセッティング。
ライトアップ準備は完了です。




18日(土)19時から開催された中庭音楽会の様子

日没後、空の色がだんだん青色にかわり
ライトアップされた中庭では多くの方々が
新緑の夜とインド音楽のコラボレーションを楽しみました。


またひとつ、天神山文化プラザの魅力を
知っていただけたでしょうか?

この夜、ピロティを吹き抜ける風は
グリーンカレーの匂いがしました(笑)

















2013年5月7日火曜日

『キセキ39』

今回は、天神山文化プラザの建物の特徴のひとつ
ピロティのお話です。



 ピロティは建物の2階部分を柱であげて、
外部空間としてある部分をいいます。
総合文化センター時代は、図書館、ホール、展示室への、
天神山文化プラザではホール、展示室に
人の流れを分散するための役割をしています。


ピロティに幕を張って
忍者街を遊ぶのイベント会場準備中です。



5月5日(日)天神山文化プラザ、出石町周辺で
「忍者街を遊ぶ五」のイベントを開催、
ピロティは、子供達の忍者修行の場所となりました。



忍者登場!!
子ども達も大興奮です。



前川國男建築設計事務所の担当所員の足立光章氏は、
(昭和37年7月1日発行の『新建築』)
ピロティはこの(総合文化センターの)動線計画にとってきわめて有用なものであり、
諸機能の要、あるいは集合点ともいうことができる。
今は、費用の関係でピロティにはなんの施設もされていないが、
人が集まって憩える施設が早急にできることが望ましく、
たとえばヨーロッパで野外劇が行われているような
楽しい雰囲気が早くつくられればと思っている。
幸い市民の広場ということに対して、文化センターの方々は深い
理解を持たれているので、この希望がみたされるのも
そう遠い日ではないと思う。と述べられています。

あれから随分時は過ぎましたが…
現在、天神山では、ピロティや中庭、レリーフを会場として
演劇や朗読劇、ダンスなどが開かれるようになりました。

これからも、こうしたイベントを通して、
建物の違う一面を知ってもらいたいです。









2013年5月1日水曜日

『キセキ38』

今回は中庭のお話です。
 天神山文化プラザの坂道を上がっていくと
ピロティを通して、天神岩がある中庭が
一枚の絵のようにみえます。


建設工事が始まった頃の写真(池上 傳氏撮影)

天神岩は由緒ある岩で
この岩は設計段階からありました。
建物だけでなく、そこにある風景と建物が
一緒に佇むように設計されています。



中庭には日本庭園を思わせる池があります。
今回久しぶりに池に水を少しはってみました。

5月14日(火)からは久しく空だった
天神山中庭の池に水を張り、ライトアップ!

5月18日(土)19時から「天プラ中庭音楽会」を開催
インド楽器シタール、タブラの演奏とともに、新緑の夜と
カフェでのおいしい飲み物をお楽しみ下さい。

料金は1500円(ワンドリンク付き。カフェは18:00~オープン)
お席に限りがありますので、あらかじめチケットをお求め下さい。
チケットは天神山文化プラザとぎんざやにご用意しております。
あなたも素敵な夜を過ごしてみませんか?
お待ちしています。