2016年11月18日金曜日

50のキセキ+14 建築探訪

今日、世界遺産を日本で支えた建築家前川國男・岡山に近代建築を創るという
見学会&講演会があり、天神山文化プラザにも40名の見学者がこられました。
なんと京都工芸繊維大学の松隈 洋教授が案内してくださいました。
松隈教授は20年も㈱前川建築設計事務所にいたそうです。

まずはピロティにきてレリーフを紹介されました。




第3展示室の中二階から展示室全体を眺める見学者の皆さま。
国立西洋美術館の狭い階段に似ていると言われてましした。


非公開の屋上庭園にみなさん思い思いにベンチに座ったり
レリーフを上からのぞき込んだりしています。



山田先生や前川事務所の方もとびいりで
ご説明をしてくださいました。




スロープを歩いて建物の西側をみます。
西側から見る建物の角は直角ではなく
角がカットされています。
人々を招きいれるようなかたちになっているそうです。

今回の見学者は遠くは埼玉から来てくださったとか。
もちろん岡山市内にお住まいの方も
こんなに近所にコルビュジェの弟子の
前川國男が設計した建物が見ることができて
驚かれていました。またぜひお越しください。












2016年11月2日水曜日

50キセキ+13 弘前市斎場

弘前市の西側、禅寺の並ぶ禅林街を抜け坂を下ると
岩木山を望むリンゴ畑の中に斎場はあります。





弘前市にある前川建築8棟のうち最後の作品となっています。


前川建築とは異なり、屋根は急勾配の鋼板葺になっています。


車寄せの天井は鉄筋コンクリートの
組格子となっているのが特徴です。
雪の日でも十分な広さで訪れる人々を包み込むように迎えます。


斎場内のロビーの様子です。
内部は、炉前ホール、収骨室、事務室などの火葬棟と
待合棟、そしてこれらを繋ぐ渡り廊下で構成されます。


遺族が待つ和室と炉室を繋ぐ、長い緩やかなスロープの渡り廊下は、
黄泉の国と俗世を結ぶ、古事記由来の
黄泉平坂(よみひらさか)をイメージしているそうです。


弘前緑の相談所でも使われていた陶器のベンチや灰皿があります。



優しい光の照明です。


モダニズム建築を日本に広めた前川は
長年フットルーフに拘り続けていたが、
一方で伝統的な勾屋根を取り入れ
流れるような空間構成を
生み出すことに成功している。

前川の母方の古里である弘前に、初めて前川が設計した
処女作「木村産業研究所」から約半世紀、夫人と共に
出席した斎場の竣工式は、前川にとって弘前訪問の
最期となった。3年後の1986年前川は死去。


























50キセキ+12 弘前市緑の相談所

弘前公園東側入口近くに1980年に竣工した
弘前市緑の相談所はあります。
1春には桜や秋には紅葉に包まれ名前にふさわしい
環境に佇んでいます。
桜の木を一本も切らずに設計されました。



中庭には日本一幹の太いソメイヨシノが観光スポットになっています。


正面からは勾配屋根なのですが、、、、


後ろから見ると四角い建物にみえます。

近代建築をリードしてきた前川氏は、1980年代頃より
勾配屋根で建物を覆い始めた背景には、
雨の多い日本にとって勾配屋根で雨を処理する自然さ
いわば風土・環境になじむ建築への素直な思いがあったそうです。


テラスに置かれた陶器のイスです。

テラスに置かれた陶器でできている灰皿です。



大きな庇を支える柱も柔らかい木の端縦模様状の
コンクリート研り仕上げです。


ロビーは網代張り2色タイルです。
このイスも床のタイルとマッチしていて素敵です。

前川デザインの陶器のイス・灰皿なども前川建築の
空間を醸し出す大切な要素であり、
これらが、活きずく緑の相談所は小規模ながらも
前川建築の傑作のひとつであります。

とても素敵な場所にあり現代風な感じのする前川建築でした。
陶器で作られたベンチや灰皿はとてもまわりとマッチしていて
とてもいい感じに配されていました。
中庭のベンチでゆっくり鑑賞したいですね。